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番外編 心望の初節句

「黄(ファン)!变色龙(ビエンソーロン)!」 地竜さんの手下の男が大声で二人を叱り付けた。その声にびっくりしたのか、お利口さんにしてご飯を食べていた太惺が急に泣き出した。そしてつられて心望も。 「ちょっと地竜!二人とも機嫌よくご飯を食べていたんだよ」 那和さんが頬っぺたを膨らませ声を荒げた。「ごめんね、びっくりしたよね」那和さんが太惺を、紗智さんが心望をそれぞれベビーチェアから抱き上げて、お尻をとんとんと優しく叩き何とか泣き止ませようとしたけれど、見知らぬ男達にじろじろと好奇の眼差しを向けられ、更に火が付いたように泣きはじめた。 「△○▲×△!!」 地竜さんがやれやれとため息をつきながら、むくっと体を起こすと、手下の男たちを叱り付けた。 「たく、何でこうも頭が固い連中ばかりなんだ」ぶつぶつと独り言を言いながら起き上がるとカメレオンさん達のもとへ自ら足を運んだ。 「黄が鳥飼をやたらと気にいっていることはお前も薄々勘づいていたはずだ」 すぐ近くにいる鳥飼さんに聞こえるように日本語のあとに中国語で二人に話し掛けた。 「黄はお前の将来を思い、別々の道を歩んだ方が幸せになるんじゃないかって考えたんだ。好敵手《ライバル》の柚原が裏家業から足を洗って幸せな結婚をしたように、お前にも裏家業から足を洗って幸せになってもらいたいってな」 カメレオンさんはただ静かに黙って地竜さんの話しを聞いていた。

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