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番外編 俺の、愛おしい人

雲ひとつない晴天の空の下、子供たちは近所の子供たちと一緒に庭でキャーキャーと水遊びをしてはしゃいでいた。朝から気温がぐんぐん上がり、まだ3月なのに夏日を記録した。 あまりの暑さに和江さんが倉庫にしまってあったビニールのプールと、お孫さんが赤ちゃんの時に使っていたベビーバスを引っ張り出してくれた。 ウーさんとフーさんはそっぽを向き、目も合わすことも、言葉を交わすこともなかった。 鳥飼さんはもうここにはいない。 組事務所で電話番をしながら、火傷の治療をまずは優先させることになった。 いつも側にいるのが当たり前で。 いつも鳥飼さんに守ってもらっていた。 彼に知られたら焼きもちを妬かれて大変なことになるから内緒だけど、失ってはじめて鳥飼さんの存在の大きさに気付かされた。 朝起きたらいつの間にかいなくなっていて、行ってらっしゃいも、いつもありがとうの一言も言えなかったのが残念で仕方がない。 「冷たくて気持ちいいね」 紗智さんと那和さんはTシャツに短パンに着替えて、太惺と心望につきっきりで一緒にベビーバスで水遊びをしてくれていた。 彼もスボンを膝上まで捲り、腕捲りをして子供たちと遊んでくれていた。 わざと水を掛けたり、ボールで遊んだり、水鉄砲を若い衆にわざと向けたりと、大人気がないと橘さんたちに呆れながらも、童心に返って遊んでいた。 一番最初に異変に気付いたのはウーさんだった。 右耳に手をあてると静かに目を閉じた。 フーさんも何かに気付いたみたいで鋭い眼差しを周囲に向けながら、紗智さんたちに大きな声で何かを指示した。

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