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番外編 俺の、愛おしい人

「地竜はマーに出会って180度変わった。紫竜(ズーノン)の手先となり殺人以外のありとあらゆる犯罪に手を染めてきたそれまでの人生を悔い改め、黒竜(ヘイノン)を抜け、新たな組織を立ち上げた。那和、俺が代わりに話すから、無理しなくていいよ」 紗智さんが那和さんの肩に手をそっと置くと、シェ シェ(ありがとう)。那和さんがその手をぎゅっ、と握り返した。 『ダオレン、なぜボスを裏切り、炎竜側に寝返った』 ウーさんの声は遠くの森までよく響く。 『ボスは完全なる利己主義者、急進派だった。だから崇拝し従ってきた。博愛主義者に成り下がったボスにはもう用はない』 対するダオレンさんの声も負けないくらいよく響く。 太惺と心望は怖くて目を潤ませ半べそをかいていた。 一太と遥香も、声の大きさに吃驚して、怖くて泣いていないかな?大丈夫かな? 「遥琉もみんないますから心配しなくても大丈夫ですよ」 「ありがとう橘さん」 太惺と心望のちいさなちいさな肩をそっと抱き寄せた。 「裏切り者には容赦ない制裁が与えられた。目の前で何度も見た。そりゃあトラウマにもなるよ。忘れたくても忘れられない。脳裏に焼き付いているもの」 紗智さんが那和さんの背中を擦りながら、ウーさん達が話している内容を訳してくれたけど『ソイツはもう必要ない…………』そこで言葉を止めると、 「えっ?ちょっと待って!」 慌てて立ち上がった。 「止めて!殺さないで!茂原さんが二度と立ち直れなくなるから、だめ!」 ありったけの声をかき集め叫んだ。

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