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番外編 俺の、愛おしい人

「ダオレンの狙いは炎竜じゃなくて最初からマーだった。だから拳銃を殺傷能力が高いものに改造した。ごめんねマー、僕がいながら守れなくて」 「俺だって、マーを守れなかった。ごめんね」 那和さんと紗智さんが悔しそうに唇を噛み締めた。 「僕は大丈夫だから、ねぇ」 笑顔で二人に答えて、緊張でガチガチに強張った頬をそっと撫でた。 「お願いだから笑って。二人には笑顔が一番似合うから」 一度止まったはずの涙が二人の頬を濡らした。 「やだもう僕まで……」 二人の涙をもらい、気付けば泣いていた。 「地竜さんからもらった腕輪が未知さんと子供達の命を救ったんですよ」 橘さんに言われ、ベッドの脇のテーブルの上に目を遣ると、真っ二つに割れた腕輪が置いてあった。 記憶が全然ないから、何が起こったのか全く思い出す事が出来なかった。 でも頭に手をやると確かに包帯が巻かれてあって、顔にもあちこち白い絆創膏が貼られてあって、腕輪があった右の手首にも包帯がぐるぐると巻かれてあった。 「マー寒くない?」 「うん」 「3日と4日、二日続きで夏日になったと思ったら、今日は朝から雪なんだもの。日本の天気はよく分からない」 那和さんが肩にガウンを羽織らせてくれた。 子供たちがいつでも来れるように個室にしてもらった。 「たいくん、ここちゃん、天井に誰かいるの?首痛くなっちゃうよ」 太惺と心望は紗智さんと和江さんにそれぞれ抱っこしてもらい、病室の天井を不思議そうに首を傾げながらじっと見詰めていた。 「お家じゃないっていうのが分かるのかも知れないわね」 「赤ちゃんって本当に不思議。見てて飽きないし、仕草も可愛くて、みとれちゃう」 紗智さんが頬を太惺の頬に擦り付けると、キャキャと声を立てて笑いだした。

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