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番外編 俺の、愛おしい人
「あっ、そうだ。未知さんに渡したいものがあったの」
和江さんが足元にあった紙袋からA4サイズのノートを取り出すと、それを手渡された。ノートを開くと一ページ分にびっしりと、子供たちの様子が事細かく書かれてあった。
一番上の欄に書かれた日付を見ると、僕が記憶を失った12月20日の翌日から始まっていた。
「これは?」
「未知さんの記憶が戻ったとき、もしかしたら記憶を失っていた間の記憶がないかもしれない。何か一つでも思い出す手かがりになればいいかなってそう思って」
「ありがとう和江さん。目が覚めたらいきなり3月6日になってて、その間のことを何も覚えていなかったからすっごく嬉しい」
ギュっと両手でノートを抱き締めた。
「まだあるのよ」
心望をあやしながら、紙袋から分厚い本みたいなものを取り出した。全部で三冊もあった。
「惣一郎さんや橘さんがね、毎日子供達の写真を撮り続けたのよ。ここまで来たらストーカーよね。みんな元気一杯、大きな病気もすることなく、すくすく成長して、本当、親思いの優しい子供達だわ。動画もこれでもかってくらいたくさんあるから家に帰って見るといいわ」
「あのねマー、ここだけの話し、バーバも毎日、日記を付けていたんだよ。日記の最後には必ず『明日こそママの記憶が戻りますように』って書いていたんだよ」
え?遥琉さんが………胸がじ~んと熱くなった。ちゃんとありがとうを言わないと。
でもその前に迷惑ばかり掛けてごめんなさいって謝らないと。
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