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番外編 俺の、愛おしい人

「那和、俺のことを呼んだか?」 カタンとドアが開いて彼が病室に入ってきた。ママ!遥香も彼の手を離し、元気いっぱいニコニコの笑顔で駆け込んできた。 「バーバ、いつからいたの?」 「いつからって、ついさっきだ」 さっきのことを彼に知られちゃかなりまずい状況になるからか、愛想笑いをしながら平静を装っていた。 「お兄ちゃんは幼稚園?」 「うん!」 「もう少しで卒園式だね。いつだっけ?」 「18日だ。しっかりしてくれよ」 彼に苦笑いされてしまった。 ごめんなさい。えへへ、笑って誤魔化した。 「あっ、そうだ」 橘さんに言われたことをふと思い出した。 「子供会に入るか、入らないかだろ?俺のお袋は親父がヤクザだってひた隠しにしていた。未知と一太を他の保護者が受け入れてくれればいいんだが、今は親の方が強いからな、モンペって呼ばれている連中もいるみたいだから、無理して入る必要はないんじゃないか?送り迎えはみんなで手分けしてすればいいじゃないか。俺だって協力出来ることは何でもするつもりだ」 「遥琉さんありがとう」 「いちいち礼はいらない。顔の傷・・・・残らないといいんだが。ごめんな、ちゃんと守れなくて」 彼の指がおっかなびっくり頬に触れてきて、指の腹でそろりと撫でられた。 ううん、遥琉さんが悪いんじゃないよ。にこっと微笑んで、首を横に振った。

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