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番外編 俺の、愛おしい人

「ハルちゃん、下のカフェでママに温かいノンカフェインのカフェオレを買ってこようか」 「はぁ~い!」 遥香が右手を挙げた。 (ほら、そこの2人も、邪魔になるから) 和江さんが小声で紗智さんと那和さんに声を掛け小さく手招きをした。 「何か、お腹空いた。ねぇ紗智」 「あぁ、そうだね」 わざとらしい演技をしながら、太惺と心望をそれぞれベビーカーに乗せ、つい最近期間限定でオープンしたばかりのカフェへとそそくさと向かった。 「たく、下手な演技をしやがって」 彼がぶつぶつボヤキながらベットの脇にゆっくりと腰を下ろした。 「子供達の成長だけでも記憶に残してほしいって神様に願ったんだが、そう上手くはいかないものだな」 アルバムを手にすると一ページずつゆっくりとめくった。 「太惺と心望、あっという間に大きくなるもんだな。産まれたと思ったらもう一才だ。昨日まで出来なかった事が出来るようになったり、今まで人見知りをしなかったのに、急に泣き出したり、見てて飽きないな。一太も遥香も日々成長している。二人ともしっかりもののお兄ちゃんとお姉ちゃんだ」 彼の手が伸びてきて右手の甲をそっと、まるで壊れ物を扱うように優しく握り締めてくれた。 「何があったか知りたいよな」 うん、一度は頷いたけれど、すぐにブンブンと首を横に振った。 僕を守るためにまた誰かが傷付いたんじゃないか、誰かが無茶をしたんじゃないか、それを知るのが怖かったから。 あとが残るくらいシーツをぎゅっと握り締めた。

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