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番外編俺の、愛おしい人
お日さまみたくぽかぽか温かい彼の手がお腹を撫でてくれた。
「ベビハルごめんな、一度ならず二度も危ない目に遭わせて」
「だってこの子は遥琉さんの子だよ。パパに似て強い子だから大丈夫」
「未知…………ありがとう」
肩に彼の腕が音もなく回ってきて、そのまま広くて逞しい胸元に抱き寄せられた。
「地竜 の手下に黄 という男がいただろう?」
「ふぁん、さん…………?」
「黄色の黄だ」
えっと、えっと、誰だっけ?
頭を巡らせた。
「もしかして………柚原さんのライバルの?」
自信がなかったから小声で返した。
「あぁ、そうだ。フーという名前に改名し、心を入れ替えて真人間として人生をやり直そうとしている。それで、ええと」
そこで口ごもると、ごほんごほんとわざと咳払いをした。
いっぺんに言ったら僕が混乱するから、彼なりに気を遣ってくれたのかも知れない。
「地竜の手下とはいえ何者か分からないヤツを未知や子供たちの側に置いておけないだろう?だから鳥飼に預けて面倒をみさせていたんだ。そしたら、いつの間にか鳥飼とそういう関係になって・・・・ごめんな、そりゃあびっくりするわな。俺も鳥飼から聞いたときは腰を抜かすくらいたまげた。未知、大丈夫か?」
目をパチパチさせて彼をじっと見上げていたら、なぜか口許を手で覆い、真っ赤になって顔を逸らされた。
「遥琉・・・・・さん?」
「頼むからあまり煽らないでくれ」
「へ?」首を傾げると「未知があまりにも可愛すぎて、襲いたくなるだろう」
恥ずかしいのか顔を逸らされボソッと言われてしまった。
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