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番外編俺の、愛おしい人

「箝口令を敷いたはずなのに、千里や裕貴さんら、関係者全員未知さんが記憶を取り戻した事を知っているんですか?」 目を吊り上げ彼を睨み付けながら、すごい気迫でじりじりと迫った。 「橘が怖いよ、未知助けてくれ」 そんなこと言われても、どう助けていいか分からないよ。 「遥琉‼」語気を強め名前を呼ばれると、「はい」びくっと背中を震わせて、その場に正座で座り直した。 「全員集まったら、それこそ彼らの思うつぼです。正体さえいまだに掴めない連中なんですよ。どこで見ているか分からない、ここも盗聴されている可能性だってなきしもあらずです」 「すまない・・・・じゃない、ごめんなさい」 しゅんとして肩を落とし(こうべ)を垂れる彼。 「柚原さんと鞠家さんが、手分けしてみんなに事情を説明しています。でも、七海さんと颯人さんはすでにこっちに向かっているみたいで止めることが出来ませんでした。遥琉、今度こそ、ちゃんと未知さん達を守ってくださいね」 「言われなくても分かっている。でもなんで颯人が」 「睦さんの代理として、鳥飼さんの旦那さんにどうしても一言挨拶がしたいそうです」 「は?電話で済むことだろう?」 「あなたは何も分かっていない」 しまいには橘さんにやれやれとため息をつかれてしまった。

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