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番外編俺の、愛おしい人
「ごめんなさい遅くなって」
寝室に戻ると彼がベットの手前にあるこたつの辺りで仰臥していた。
春先とはいえまだ寒い日もあるからと和江さんがそのままにしておいてくれた。布団を蹴飛ばした一太のお腹に布団を掛け直し、添い寝したまま眠ってしまったみたいだった。
(………寝顔、久し振りに見るかも)
お腹を支えながらゆっくりと座り込むと、そっと彼の顔を覗き込んだ。
相手に意識がないとなると、少しだけ遠慮が薄れてしまう。
記憶を失っていた間の記憶はおそらく戻らないと思う。
彼がどれだけ寂しい想いをしたか。
人一倍責任感の強い彼のことだから、自分のせいだって責めたはず。
遥琉さんは何も悪くないのに。
ごめんなさい。
これまで何度も見てきたのに、彼の顏の造りに魅入ってしまい動けなくなってしまった。
意外と睫毛が長くて……瞼を閉じていても二重の線がくっきり。でも開いている時の方が断然男らしくてカッコイイ。
そっと指先で触れた口唇は、すごくやわらかくて、あたたかな温もりが伝わってきた。
やっぱり僕は遥琉さんが側にいてくれないと駄目だ。一人では生きていけない。
「遥琉さんが大好き」
結婚してから何となく気恥ずかしくて。
面と向かってなかなか言い出す事が出来ないでいた台詞を無意識のうちに口にしていた。
「未知から愛の告白か。嬉しいな」
(ーーあ)
ぎくんっと一瞬にして心臓が縮み上がった。
あれ、寝ていたはずなのに、何で?
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