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番外編 俺の、愛おしい人
「遥琉さん、擽ったい。照明のリモコンはそんなところにないよ」
灯り、消さなきゃな。あれ?リモコンは?
そう言ってなぜか僕の背中の下をゴソゴソと探しはじめた彼。
擽ったくて身を捩り、布団の中でもがいていたら何かの拍子に彼の股間を思いっきり膝で蹴ってしまった。
「ごめんなさい。わざとじゃないの、許して」
すぐに謝ったけど、申し訳なくて顔を上げられずにいたら、
「は、遥琉さん!」
手首を掴まれ股間に手をあてがわれた。
そこはすでに硬くなっていて形を変えていた。
「ちゃんと責任をとってくれるんだろう?」
「えっと、その………」
戸惑っていると、するりと顎を掬い上げられた。
濡れたような黒色の瞳に自分が映っていることを見留めた直後、しっとりとした口付けが唇に落ちてきた。
啄むような短いキスが重ねられ、舌の根で優しくそこを撫でられた。
「っふ……っ」
あえかな甘い吐息を溢し、服にギュッとしがみつくと何度目かのキスののち、唇を掠める距離で彼が小さく微笑んだ。
「未知の唇は甘くて、触れ心地がいい」
掠れた声で囁かれ、頭がぼうっとしてきた。
ぐったりと彼の腕に身を委ねると、耳殻に熱い唇が触れた。
「未知が欲しくなるだろ?これでも理性を総動員して我慢しているんだ。あまり煽らないでくれ」
そういうつもりはないの。言い返そうとしたら、太惺が何かに怯えたようにふぇ~ん、ふぇ~んと急に泣き出した。
太惺につられ、お手手をばんざいしてねんねしていた心望もふぇ~ん、ふぇ~んと大きな声を上げて泣き出した。
さすが双子。泣き声も泣くタイミングもそっくり。息もぴったりだ。
その上遥香までがぐずりだして。
「やっと甘えられると思ったのに……はぁ~~」
彼ががくっと肩を落とし、首 を垂れた。
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