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番外編 俺の、愛おしい人

「鞠家さんに聞いたら、フーさんと鳥飼さんに結婚式をサプライズでプレゼントすることになったって聞いて、私まで嬉しくなっちゃった。手伝えることがあれば何でも手伝うからね。遠慮しなくていいから、どんどん言ってね」 一太と遥香が大好きな手巻き寿司に唐揚げ。次から次に和江さんが料理を運んできてくれた。 美味しそうな匂いに我慢が出来なくなったのか、テーブルをバンバンと叩きご飯を催促する太惺と心望。 「ごめんねお待たせして。盛り付けにちょっと手間取ったの。ままたん特製のお寿司よ」 和江さんが急いで持ってきてくれた。 橘さんが一太や遥香となるべく同じメニューを二人に食べさせたいと、あちこちネットを検索してレシピを見付けたくれたみたい。 手掴みで食べれるようにシャリは一口大より少し小さめ。ネタは……何だろう?思わずランチプレートを覗き込んでしまった。 「赤いのは湯むきしたトマトで、白いのは柔らかく煮た大根で黄色いのは人参。それと卵焼よ。軍艦巻きの方は、とうもころしと、しらすと納豆よ。橘さんにこの際だから弁護士を辞めて、料理人に転職したらって言ったら、この命が尽きるまで俺に付いて来い。死ぬときは一緒だって、遥琉さんと指切りげんまんしたから自分から破る訳にはいかないって。それを聞いて年甲斐もなくキュンキュンしちゃったのよ」 和江さんいつもよりテンションが高い。 「あっ……」 いつの間にか隣に柚原さんが遥香を膝の上に抱っこして座ってて、しまっとばかりに口を片手で覆った。 「俺も未知も、優璃とオヤジの事でいちいち目くじらを立てたりはしない。まぁ、たまに焼きもちは妬くが、気にはしていない。それよりも早く飯にしよう」 淡々と答える柚原さん。その目は笑っていなかった。 殺気立った雰囲気にびびりまくる和江さん。 「ぱぱたん、こわいかおちないの」 遥香に注意されはっとして我に返り、ごめんな、慌てて謝っていた。

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