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番外編俺の、愛おしい人
「タ リャン ヘン エン アイ ダ……あの二人、仲睦まじいよ。
ゼン ハウ……いいね」
紗智さんがフーさんとウーさんの唇の動きを読み取ってくれた。
「なんだフーも鳥飼の尻に敷かれたいのか?」
鞠家さんが日本語のあとに中国語で言葉を掛けた。
その言葉にフーさんは大きく頷きニコッと笑った。これには子どもたちも驚いていた。
もちろん僕も。フーさんが笑う顔を初めて見た………ただ単に覚えていないだけ、かも知れないけど。
「パパ、フーさんわらったよ」
一太が彼の袖を引っ張った。
「フーだって生きてるんだ。そりゃあ、嬉しいときは笑うし、頭に来たときは怒るし、悲しいときは泣くだろうよ。鞠家、フーに鉄仮面より笑っている顔の方が格好いいって言ってくれないか?その方が鳥飼だって惚れ直すに決まってる」
鞠家さんが通訳すると、照れて今度は真っ赤になっていた。
こうして見る限りどこにでもいる好青年だ。
鳥飼さんが40才で、フーさんは確か30才前後だろうって彼が話をしていた。
でも肝心の二人の馴れ初めをまだ聞いてない。
俺の人生全てをきみに捧げる。命を懸けて君を守る。
まさにその言葉通りに、重度の火傷を負いながらも迫り来る火の手から僕や子ども達を守りそして助けてくれた鳥飼さん。
記憶を失っていたこの2ヶ月、フーさんとどこで出会い、そして恋に落ちたのか。
知りたいことがやまのようにあった。
「う~んとね、話せば長くなる」
「うん、すごく長い」
紗智さんと那和さんが顔を見合せるなり、ぷぷっと笑っていた。
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