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番外編 俺の、愛おしい人

「私も遥琉もいるんです。もう怖くありませんよ。今は何も考えず、おなかの子が無事に生まれてるように祈りましょう」 ガタガタ震える僕に橘さんが寄り添ってくれて。背中をゆっくりと擦ってくれた。 「ヨウ ホァ ジン グェン ショ プー ヤオ ピェ ザィ シン リ」 心配そうな顔でウーさんが話し掛けてくれた。 「あの、紗智さん、那和さん」 言葉が通じなくてごめんなさい。 心の中で謝りながら、二人に助けを求めた。 「えっとね、何でも話したらいい、一人で悩むなって」 「バーバに話せないことなら、橘さんに相談してみたら」 「バーバは構いすぎる」 「うん、余計拗れる」 苦手な人参と食わず嫌いなアスパラガスとにらめっこしている真っ最中で、自分のことを言われていることに全く気付いていないみたいだった。 ウーさんが大丈夫だ、そう言ってくれているのかな?何気に目が合うとにこっと笑い掛けてくれた。 ウーさんも笑ってくれた。 良かった………。 子どもたちのキラキラ輝く笑顔と、はしゃぐ声が家中に溢れ、とても賑やかだ。 「橘さん、ちょっと気持ち悪いから・・・外・・・・の空気を・・・・吸いたい・・・・ 」 胃から競り上がってくる吐き気に我慢することが出来ず口を両手で押さえた。 「ウーさん、フーさん、手を貸してください」 名前を呼ばれると、どんなに離れていても二人はすぐに真っ先に駆け付けてくれる。

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