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番外編 好看
「ママ、だいじょうぶ?」
一太と遥香が仲良く手を繋ぎ様子を見てきてくれた。
「なかなかもどってこないから、いちたもハルちゃんも、しんぱいしたんだよ」
「ありがとう二人とも」
よいっしょっと椅子から立ち上がろうとしたら彼が飛んできて体を支えてくれた。
「目眩しないか?吐き気は?」
「もう大丈夫だよ。遥琉さん心配し過ぎ」
「だって、未知やおなかの子に万が一のことがあったらと思うと」
「母は強だよ」
彼にこれ以上心配を掛けまいとニッコリと笑い掛けた。
「捨てるのはすぐ出来る。でも、持っているだけ持っていたらどうだ?」
ウーさんが一人で何かに悩んでいることを察した彼。
「お前は一人じゃない。俺やフー、それに橘や鞠家、惣一郎さん、和江さんがいる。一人で悩むな、抱え込むな。な、ウー」
鞠家さんが同時に訳してくれた。
「シェ シェ」
名刺をポケットに押し込むと何事もなかったようにまた弾よけの仕事に戻っていった。
その日の夜。
彼のスマホは鳴りっぱなしだった。
「すごいな、千里が直参に一声掛けただけで情報が次から次に集まってくる」
彼や柚原さん達がリビングに一同に介していた。
「未知さん、鳥飼さんから電話よ」
和江さんから子機を渡された。
鳥飼さんの名前に真っ先に反応を示したのはフーさんだった。まさに地獄耳だ。どんなに離れていてもすぐに飛んでくる。
フーさんにじろじろと見下ろされながら電話に出た。
心配しなくてもすぐに代わるから待ってて。
伝わるかどうか分からないけど、身ぶり手振り彼に伝えた。
『フーは悪気がある訳じゃい。許してやってくれ』
「うん、大丈夫」
本当は怖いけど………
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