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番外編 あした、はれますように

自分に向けられる視線に気付いたのかふと後ろを振り返った。 「一太は、あーちゃんのママに会ったことがあるだろう?」 「うん‼」 「パパ、最初はあーちゃんのママと結婚式を挙げたんだ。でも、一太と、一太のママに出会って、パパどうしても一太のパパになりたかった。だから、ママにプロポーズして、あーちゃんのママと別れたんだ」 「パパ、ちがうよ」 「ん?何がだ?」 「ハルちゃんもパパにあいたかったんだよ。だから、かみさまにたのんだんでしょう。ママのおなかにおいで、おいでって。だから、パパはママとけっこんできたんでしょう?」 「パパは若い頃、悪さばかりしていたから、神様に嫌われて、なかなか子どもに恵まれなかったんだ。でも一太と、一太のママに出会って、すぐに遥香を授かることが出来て、パパ、神様に誓ったんだ。真っ当な人間になる、弱いものを助けるってな。一太は2歳だったからな。小さくて覚えていないかも知れないが、人んちの玄関先に酔い潰れて寝ていた全く知らないおやじを怖がらずママと介抱してくれただろう。それからすぐに懐いてくれて、おじちゃん、おじちゃんって呼んでくれて側から片時も離れようとしなかったんだ。そんな一太が可愛くて、パパ一目で一太に惚れたんだ。ママにもな」 てるてる坊主を子ども達の数と同じ五個飾り付けてくれた。終わる頃、今度は紗智さんと那和さんが部屋に入ってきた。 二人とも自分で作ったてるてる坊主を一つずつ手にぶら下げていた。 「これじゃあ部屋がてるてる坊主だらけだ。まぁ、しゃあないな。二人とも飾ってやる」 「初めて作った」 「僕も」 二人とも子どものように大はしゃぎだ。 中国(ふるさと)にはてるてる坊主を飾る習慣がないのかな?よく分からないけど。

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