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番外編 卒園式の朝
どうしよう。
恥ずかしくてまともに顔を見れない。
でもちゃんと挨拶しなきゃ。
太惺と心望の面倒をみてくれてありがとうってお礼も言わなきゃ。
そんなことを思いながら厨房をそぉーと覗くと「おはようございます」普段と何ら変わらない笑顔で橘さんが出迎えてくれた。
「あ、あの・・・・橘さん・・・・」
「二人とも柚原さんと仲良くまだ寝てます。未知さんもあまり寝ていないのでしょう?もう少し横になったらどうですか?」
「大丈夫です。それよりも、子供たちをみててくれてありがとうございました」
ぺこりと頭を下げた。
「一人で5人の子どもをみるのは大変ですからね。約一名、図体は一番でかい癖に、甘えん坊で焼きもち妬きで、それでいて、全く何も分かっていない手の掛かる問題児がいますからね」
「ごめんなさい」
その問題児って恐らく遥琉さんのことだ。
昨日の夜。
ドンドンとドアをけたたましく叩かれて。
『遥琉‼病院に置いてあったパンフレットをあなたに渡しましたよね?その中に手マンやアナルセックスは避けるように、そう書いてありませんでしたか?』
橘さんの怒鳴り声が部屋中・・・・ううん、恐らく外まで響き渡った。
『夫婦で仲良くすることは反対しません。が、避妊具を使わない、不潔な手で性器に触れる、オモチャを使う、長時間する、激しくするは良くないので避けるように、常々注意しているハズですが、ちゃんと聞いてますか?』
耳の痛いことを矢継ぎ早に言われ、彼は完全に撃沈した。
『それと胸への刺激は・・・・』
「分かってる。いや、分かってます。ごめんなさい」蚊のなくような声で言い返すのが精一杯だった。
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