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番外編 卒園式の朝
それから数分後、やっと元の静けさが戻ってきた。
足元にある下着とズボンを取ろうと手を伸ばしたら、
「なら口でならいいのか?」
彼が独り言のように口にして、バスタオルをがばっとマントのように頭に被るとそのまま脚の間に顔を近付けてきた。
「だめだってば」
彼の髪に手を置き離そうとしたけど、
「あぁ・・・・・」
割れ目にちろちろと舌を這わせ、滑らかな舌先で舐め回れれば自然と甘い声が漏れてしまい、体から力が抜けていった。
「ちゃんと隠してろよ。いつまた橘が怒鳴り込んでくるか分からないからな」
「え、そんな・・・・」
戸惑う僕にはお構いなしで熱にうなされたように一心不乱にそこへの愛撫をはじめた。
「子供を心配しない親はいません。私は未知さんの親代わりですよ」
橘さんから椅子の上に置いてあった紙袋を渡された。
「それに和江さんも、惣一郎さんも、あなたを実の孫のように大切に想ってます。これは二人からです」
「え?何で?」
吃驚しながら中を覗くと紺色の服が入っていた。
「卒園式や入学式くらいお下がりじゃなくて、新しい服で臨んで欲しいと、二人なりの心遣いです」
「嬉しい・・・・」
ぎゅっ、と両腕で抱き締めた。
そのとき何気にウーさんとフーさんと目があった。
二人は交代で仮眠をとりながら、僕のたまよけをしてくれている。ということは間違いなくウーさんかフーさんに聞かれていた。
あられもない声や、橘さんの怒鳴り声。全部聞かれていたのかと思うと恥ずかしくてまともに顔を見れなかった。
身の置き場にほとほと困った。
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