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番外編 卒園式の朝
「未知さん、二人はプロですよ。その辺りはちゃんとわきまえています。すっと一旦その場から離れ・・・といってもすぐに駆け付けられるように近くにはいますが、プライドをもって二人はあなたの弾よけにあたっています」
橘さんに背中を押され、びくびくしながらも二人に「おはようございます」と挨拶するとにっこりと笑顔で会釈された。
「あのねマー。バーバ、フーとウーに怒られてたんだよ」
「怒られてたというより、注意されていたのかな?」
紗智さんと那和さんがニコニコ笑いながら姿を現した。
「え?何で?」
にわかには信じられなくて驚いて二人を見るとごほん、わざとらしく咳払いをしてその場からすっといなくなった。
ハイブランドのダークスーツを粋に着こなし髪を後ろに流した彼が鏡の前で真剣な眼差しでネクタイを選んでいた。
普段は甘えん坊で焼きもち妬きで構ってちゃんなのに………普段の彼とは全く違うキリリと引き締まった横顔に思わず見惚れていたら、
「そんなに見詰められたら恥ずかしいだろ?」
困ったように苦笑いされてしまった。
「未知、その格好・・・・・」
僕を一目見るなり彼が驚いたように目を丸くした。
和江さんと惣一郎さんからプレゼントされた紺色のワンピース。丈が長めでお腹の回りがゆったりとしている。産後も長く着れるように授乳口が付いていた。
「やっぱ変、だよね・・・・ワンピースって女のひとが着るものだもの。着替えてくる」
「ちょっと待った‼」
彼に手首を掴まれ引き戻された。
「すごく似合ってる。それに可愛い」
「ほんと………に?このワンピースより、いつも着てるスボンとシャツの方がいいでしょう?」
「な訳あるか」
彼が片手で腰を抱き寄せてくれて。
おでこにチュッ、と軽く口付けをしてくれた。
「嘘付いてどうすんだ?マジで可愛い」
上目遣いに彼を見詰めると、にっこりと優しく微笑み掛けてくれた。
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