だって人は幸せになるために産まれてくるんだもの。産まれてきちゃいけない命なんて一つもないから･･････ 斉木先生と話しをしていたら出掛けるのが遅くなり、大急ぎで幼稚園に向かったけど、すでに駐車場がいっぱいになってて、交通整理をしていた先生に、すぐ目の前にあるホテルの駐車場に駐車するように言われ車を移動した。 彼が車から下りるなり、他の保護者の視線が一斉に彼に向けられた。 どうみてもヤの付く人にしか見えない格好だもの。嫌でもかなり目立つ。 ｢いちたくんのパパかっこいいね｣ 同じクラスの子たちが一太に声を掛けてくれた。 ｢うん！かっこいいでしょう｣ 言われて一番嬉しい言葉を掛けてもらい、一太はニコニコの笑顔になった。 警戒し鋭い眼差しで周囲を見回す彼。 すこしくらい笑った方がいいのに。 ただでさえ顔が怖いんだから、クラスのママさん達を余計怖がらせるだけだよ。 ｢黒竜は神出鬼没だから、用心するに越したことはない。そうだろう未知?｣ 遥琉さんの言うことはもっともだ。 一太の手をしっかり握り締め、彼とウーさんとフーさんに付き添ってもらいながら目の前にある横断歩道へと向かった。 フーさんとウーさんが辺りに目を配り、 耳を澄ませ、車が来ないことを何度も確認して、僕や一太、彼を警護しながら道路を渡らせてくれた。 ふぅ。お腹が重くてすこし歩いただけで息が上がる。 一旦、立ち止まり、ひと息ついてからまた歩きはじめようとしたら、ウーさんが何かに気付き、すっと前に出ると鋭い眼差しで遠くを睨みつけた。