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番外編 卒園式の朝

「最近、ハイブリッド車とか音の静かな車が増えているからな。はっとして後ろを振り返ったら、すぐ真後ろに車がいて、あわや接触事故………充分にあり得るから気を付けないといけない。大丈夫か?」 「うん」 「もうちょっとで幼稚園だ。着いたらすこし休ませてもらおう」 「そのほうがいいよ、ママ」 「ありがとう」お腹を擦りながらゆっくりと歩き始めた。 その間何台かの車が走り去って行った。 幼稚園の他に小学校もあるからこの周辺は終日時速30キロ規制になっている。 道幅も狭いからUターンも出来ない。 ハズ……何だけど……… 走り去って行った車がなぜか途中で強引にUターンして戻ってきた。 「ウー、フー!!」 危険を察した彼が声を張り上げた。 ウーさんがこちらに向かってくる車を睨み付けながら背中を指差した。そこに隠れていろ、そういう意味なのかな? フーさんは彼の護衛に回った。 「無関係な家族連れまで巻き込むつもりか、たく、血も涙もない連中だ」 彼がそんなことをぼやいていたら、車が目の前で急停車した。 ウーさんとフーさんは咄嗟にポケットから護身用の折り畳み式のナイフを取り出そうとしたけど、通行人や他の保護者の目があり思いとどまるしかなかった。 すぅと静かに後部座席の窓が少しだけ開いた。 スモークガラスで誰が乗っているのか全く見えなかった。 「日本鬼子(リ゛ーベン グゥイズ)、13(シー サン)」 しゃがれた男の声が車内から聞こえてきた。 馬鹿にするように鼻でせせら笑うと、まるで鷹のような獰猛な目でじっとこっちを・・・・・正確にはウーさんとフーさんをジロリと睨み付けた。

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