「◇＊○★▲▽」 フーさんは男の脅し全く動じなかった。逆ににこっと笑って男に言葉を返した。 ウーさんも穏やな笑みを浮かべ男に言葉を返した。 「混蛋（フンダン）」 二人を見下したような態度で男がゲラゲラと笑いだした。 「何だてめぇー‼名前くらい名乗れ‼」 身を乗り出し抗議しようと彼をフーさんが止めた。 束になっても敵う相手じゃない。 相手にするだけ時間の無駄。 そう言っているのかな？ 彼をじっと見詰め、静かに首を２回横に振った。 ハザートランプも点滅させず停車しているから、ちょっとした渋滞になっていた。後ろの車がクラクションを何度も鳴らし追い越していった。 「未知、一太、構う必要はない。行こう」 彼に促され幼稚園へ向かった。 ウーさんとフーさんは後ろ向きで歩きながら、車が走り去るまで険しい表情を崩さなかった。 ｢いちたくんおはよう｣ 幼稚園に着くなり仲のいいお友だちが次から次に一太に声を掛けてくれた。 ｢ねぇ、ねぇ、いちたくん。うしろのおにいちゃん、だぁ～れ？｣ 子どもたちは無表情で立つウーさんとフーさんにびくびくしていたけど、一太にとっては見慣れた光景。 ｢ママのたまよけだよ｣ にっこりと笑ってそう答えた。 ｢たま……よけ？｣ ｢うん！｣ 子どもたちは意味が分からず一様にぽか～んとして首を傾げた。 ※日本鬼子は日本人に対する蔑称 ゛13゛は中国では縁起の悪い数みたいです フンダンは、愚か者、馬鹿か。そんな意味です。