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番外編 一太の夢は・・・・・・
「では最後に、卯月さん一言お願いしていいですか?」
無事に終了と思ったら、園長先生が彼を壇上に呼んだ。
「は?俺?」
彼も寝耳に水だったのか、すぐには状況が飲み込めずキョトンとしていた。
頼まれれば無下に断る訳にはいかない。
それに菱沼組の組長として、また、本部執行部・若頭としての誇りがある。
すっと立ち上がると襟元を整え、ぴんと背筋を伸ばし、ステージへと向かった。
威風堂々とした立ち振舞い。
雄々とした凛々しいその姿に、先生や保護者はみな釘付けになった。
園長先生からマイクを渡された彼だったけど、大丈夫です、そう断った。
「かたっ苦しい挨拶は抜きだ。去年、ここに転園してきて、あっという間の五ヶ月だったが、みんな息子の一太と仲良くしてくれて感謝する。この世の中は不条理なことばかりだ。強い者ばかりが幅をきかせて、弱い者を平気でいじめる。いいかお前ら、外見が人と違ったり、障害があるかって決して差別したり、仲間外れにしたりするんじゃねぇぞ。陰口もイジメも絶対に駄目だ。いつか自分のところに倍になって返ってくるからな。世界にはいろんな人がいる。人はな、一人じゃ生きていけない。支え合って助け合って生きていくもんだ。分かったか」
ドスのきいた低い声に一瞬ホールが静まり返った。
逆に脅したら駄目だよ遥琉さん。
でも彼はまったく気にする素振りを見せず、それから数分間マイクなしでも遠くまでよく通る声で話し続けた。
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