992 / 3281

番外編 救救 我! (ジョ ジョ ウォ)

「さすが、菱沼組、組長」 若先生が拍手をしながら隣に腰を下ろしてきた。 「来賓で呼ばれたんだが、来てみてたまげた。愛しのウーがいるじゃねぇか。おかげで卒園式に出るのをすっかり忘れっちまった」 ハハハと笑う若先生を壇上から彼か睨み付けた。 「おめさんの旦那、相変わらずおっかなねぇな。いやぁ~参った」 頭を掻きながら苦笑いをしていた。 園医として呼ばれた若先生。 結局祝辞を述べることはなかった。 「先生」 卒園式が終わりそそくさと帰ろうとした若先生を彼が呼び止めた。 「おらみたいな一般人が束になったって、アイツラには敵わねぇよ。消されるだけだ。でも、卯月さんや女組長がいる昇龍会なら、権力に屈することなく、何とかしてくれるんじゃねぇか、そう思ったんだ。だから、託した。患者が待ってんだ。じゃあな」 後ろ向きに手を振りながら若先生は帰っていった 一太の卒園のお祝い会は午後3時から。 その前にUSBメモリの内容を確認することになった。 なかなかデータが開かないのか、彼と橘さん、かなり悪戦苦闘していた。 「これはScratch(スクラッチ)ゲームですね」 「Scratchゲーム?何だそれ?」 「小学生でも簡単にコンピュータでプログラミングを使って作れるゲームのことです。世界中の人と物語やゲーム、アニメーションを共有し合うことが出来るクリエイティ・ブラーニング・コミュニティ・・・・・遥琉にはちょっと難しいかも知れませんね」 手馴れた手付きでキーボードを操作すると、画面の右側にゲームが表示された。

ともだちにシェアしよう!