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番外編 救救 我! (ジョ ジョ ウォ)
無数の注射針の痕が生々しく残る少女が、産まれたばかりの裸の赤ちゃんを抱っこしていた。目は虚ろげで生気は感じられない。
その赤ちゃんは体がとても小さくて、胴体の下にあるべき足がなかった。
別の写真では、黒服の男たちがその少女の前に無表情で立ち、頭に銃口を向けていた。
さっきまで抱っこしていた赤ちゃんはどこかに連れていかれたのかいなかった。
少女は泣くわけでもなくただぼんやりと遠くを眺めていた。
拐われてきた幼い子どもたちが助けて、そう目で訴えながら小さな手で懸命に窓を叩く写真もあった。
男の子だからって容赦はしない。
少女と同じように大人たちの餌食にされ、玩具 にされて……
邪魔者は消す。
使い物にならなければ殺す。
それが黒竜のやり方。
「マー、もういいよ」
「本当にもういいから」
目に涙を浮かべた紗智さんと那和さんにぎゅっ、と抱き締められた。
「だって真実から目を逸らしちゃいけないでしょう?紗智さんと那和さんが、今までどんだけ辛い日々を送ってきたか、ちゃんとこの目で見なきゃ、そうでしょう?」
気付けば一緒に泣いていた。
何も知らなかった自分が情けなくて、そして、悔しかった。
「同じ人間がやることじゃねぇ」
彼も怒りに拳を震わせていた。
「○×◇▲▽‼」
画面の写真を見ても顔色一つ変えず廊下に立ち警護を続けていたウーさんとフーさんが突然口を開き頭を深く下げた。
「救救 我(ジョジョ ウォ)‼どうか助けてください。二人は地竜に助けて貰ったみたいだよ」
紗智さんが訳してくれた。
「おぅ、何とかするから、大丈夫だ」
彼が答えた直後ーー
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