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番外編 結婚典禮

「先に行っててください。千里と話しをしてから行きます」 橘さんは、パソコンの前に座り片手で操作しながら、スマホを耳にあてがった。 「おぅ分かった。先に行ってるな。なるべく早く来いよ」 彼が右手をすっと差し出した。 「さっきはごめんな」 「ううん、気にしてない」 首を横に振り、そっと手を添えると、嬉しそうに顔を緩ませ静かに握り返してくれた。 庭に出ると、子どもたちや、和江さんや惣一郎さん、ご近所さんたちの笑い声で溢れていた。 テントの中に並べられたテーブルの上には、美味しそうな料理と飲み物がところ狭しと並べられてあった。 老酒や、紹興酒と書かれた赤いラベルのお酒の他、ビールサーバーまでちゃんと準備されていた。 そして端っこの目立たない場所に白酒と書かれた小さな瓶が然り気無く置かれてあった。しかも【祝贺你们喜结良缘】と書かれたメッセージ付き。 紹興酒も白酒も中国では祝い酒として有名みたい。 見たら絶対におかしいって思われるだろうな。僕もすぐ顔に出る方だから、バレないようにしないと。 「遥琉さんこっちだ、こっちだ」 みんなが彼を手招きして呼んでくれた。 「未知さんも、立ってないで座ってくれ」 「そうよ」 惣一郎さんと和江さんが椅子をポンポンと叩いた。 心望はベビーカーの上でお手手をぎゅっ、と軽く握り締めてすやすやとお昼寝中。 太惺も、柚原さんにおんぶしてもらい、おんぶ紐をぎゅっと握り締めねんねしていた。 すっかり子守りが板についた柚原さん。 二人同時にあやすのも、寝かし付けるのもお手の物だ。

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