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番外編 結婚典禮
重ねてあった紙コップを両手で抱えると、ウーさんらのところに駆けていった。
ニコニコの笑顔で紙コップを配ると、
「ごちゅうもんは?」
突然注文をとり始めた。
「ウー、セイェ んゴイだよ」
那和さんが通訳してくれた。
「ンゴイ ペイディツァゴ」
「一太くん、お茶をください。だって」
可愛らしいウェイターさんに、それまで強張っていたウーさんの表情が自然と緩んだ。
「おちゃですね。おまちください」
すぐにテーブルに戻ってきて、今度は2リットルのお茶のペットボトルをよいしょっと抱き抱えて、ふらふらとふらつきながらも持っていった。
「ふたあけてください!」
おっきい声で頼むと、ウーさんがすぐにキャップを開けてくれた。
「ウーさん、ありがとう。みんなもありがとう」
若い衆に手伝ってもらいながら、コップにお茶を注いで歩く一太。小さな体で健気に頑張る姿にみんな「偉いな」って褒めていた。
自他ともに親ばかだと公言している彼。
他人を思いやる優しい子に育ってくれてありがとうな。そう言いながら感激し涙ぐんでいた。
「きょうはいちたのそつえんのおいわいにきてくれてありがとう」
恥ずかしがることなく半分近くに減り、さっきよりは軽くなったペットボトルを抱き抱えて、一人一人に挨拶して注いで回る一太。
遥香も紙コップを手に一太の後ろにくっついて歩いていた。
「昔を思い出すな」
「うん。二人ともカフェの看板息子に看板娘だったから」
「そうだな」
柚原さんが、鳥飼さんたちの様子を伺いながら、ベビーカーから然り気無くそぉーと紙袋を取り出すと、それを彼に渡した。
「フー、悪いがこっちに来てくれ」
手抜かりがないように、念入りに何度も打合せをしてきた。
だからきっとうまくいく。
フーさんと離れたくないのか咄嗟に手首を掴む鳥飼さん。それを見た彼が、
「野暮用だ。5分で済む」
そう言ってくれたから素直に離してくれた。
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