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番外編 結婚典禮
「余所者として形見の狭い思いをしながらも、それでも未知や子どもたちを命懸けで守ってきてくれたんだ。少しくらい礼をさせてくれ。なぁ鳥飼、結婚式は人生一度きりだ。二回挙げた俺が言っても説得力がないが、フーと幸せになってくれ」
「オヤジの気持ちは嬉しい。でも………」
そこで言葉を濁すと、タキシードとブーケをじっと見詰めた。
「ひとを平気で騙し、金を巻き上げたこともある。それに、この手でひとを殴ったこともある。俺みたいな悪党、幸せになんかなれない。いや、なっちゃいけないんだ」
自責の念に苛まれ、肩を震わせながら嗚咽を抑え込んだ。
「鳥飼さん、あなたはもう十分に罪を償ったわ」
「そうよ、そうじゃなかったら、子どもたちや、みんな、あなたにこんなメッセージを書かないわ」
和江さんと紫さんがボードみたいなグレーのカーペットを敷きはじめた。
「いまは便利ね。スマホで検索をかけると、ブーケもヴァージンロードもすべて手作り出きるんだもの」
「鳥飼さん、みんな、あなたとフーさんを祝福しているのよ。ちゃんとみて」
そこには白のマジックで書かれた一太の【ありがとう】【とりしゃんしあわせにね】の手書きのメッセージ。
遥香も彼に手伝ってもらって【とりしゃんすき】って書いたメッセージ。それに、彼や橘さん、紗智さんや那和さん、睦さんからも。
フーさんも、彼に手伝ってもらってはじめて日本語にチャレンジした。
【一生涯、君だけを愛するよ。しあわせになろうね】
中国語に続いて書かれたそのメッセージを見た鳥飼さんは口元を片手で押さえ泣き崩れた。
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