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番外編 結婚典禮
「おめでとう」
睦さんと颯人さんが仲良く手を繋ぎながら物陰から姿を現した。
「なんで・・・・・」
驚きのあまり鳥飼さんの声は裏返っていた。信じられないとばかりに首を振りながら、かつての主人 を見上げた。
「だってさぁ、鳥飼の愛人 にちゃんとまだ挨拶していないから」
恥ずかしそうに頬を赤く染めてぷいと顔を逸らす睦さん。
「それにさぁ、それすっごく高かったんだから、着て貰わないと困るんだよね」
「もしかしてこのタキシード、睦さんが?」
「俺と颯人さんからの結婚祝いだよ」
「睦さん、颯人ありがとう」
一度は止まったはずの涙がまた頬を濡らした。
鳥飼さんと睦さんが話している間、みんな総出で結婚式の準備をはじめた。
近くの公民館から借りてきた教壇に白いレースの布を掛けて、ついさっきまで惣一郎さんと酒を呑み交わしていた近所に住む盆栽愛好家の・・・・たしか名前は梶さんだ。いそいそと牧師さんの格好に着替えはじめたから驚いた。
「梶の本職は牧師だ。二つ返事で引き受けてくれた」
面倒見のいい惣一郎はとにかく顔が広い。だから、一声掛けただけでみんな集まってくれた。
「鳥飼、早く着替えて来たら?新郎をいつまで待たせる気?」
くすくすと笑いながら紗智さんと那和さんが真っ白いタキシードに着替えたフーさんを連れてきた。
背が高くスタイルがいいから何を着ても似合う。
男らしくて凛々しいその姿に、鳥飼さんしばし見惚れてぼぉっとしていた。
ごぼん、わざとらしい咳払いが聞こえてきて。はっとして顔を上げると、むすっとしてブスくれる彼と目があった。
「ごめん・・・・なさい」
別に見惚れていた訳じゃないよ。
僕は遥琉さん一筋だよ。頼むから、そんな怖い顔をしないで。
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