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番外編結婚典禮
「ママすわって」
一太が那和さんに手伝ってもらって椅子を持ってきてくれた。
「ありがとう一太」お腹を擦りながらゆっくり腰を下ろすと、すっと後ろにウーさんが移動してきた。
そんなに過保護にしなくてもいいのに。
また彼に焼きもちを妬かれて、大変なことになるから…………
みんなバージンロードの脇に勢揃いして、今か今かと鳥飼さんを待っていた。
フーさんはかなり緊張しているのか、何度も深呼吸をして空ばかり見上げていた。
「未知さん」
橘さんに名前を呼ばれて顔を上げると、にっこりと笑顔で瞳を覗き込まれた。
「鳥飼さんが一緒に歩いて欲しいそうです」
「へ?何を?」
ビックリし過ぎてすっとんきょうな声が出てしまった。
「ですからバージンロードです。姐さんと睦さん、3人で歩きたい、鳥飼さんがそう言ってます。一応念のため遥琉の許可はもらいました。どうしますか?」
そんな………いきなり聞かれても困るよ………
「マー、折角だから、ね」
「そうだよ」
紗智さんと那和さんにも言われ、断るにも断れない状況になってしまった。
「ママがんばれー」
「ハルちゃん、おうえんちてる」
「ありがとう二人とも」
子どもたちにまで応援をされたらもう後には引けない。
よいしょっと小さく掛け声を掛けて椅子から立ち上がり、睦さんや颯人さんと談笑する彼のもとに向かった。
「遥琉さん……大丈夫?」
「何が?」
「焼きもち妬かない?ブスッとしない?」
「鳥飼相手に妬くわけないだろう」
「本当に、本当?」
さっきのこともあるから質問責めにしてしまった。
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