1004 / 4007
番外編 結婚典禮
金色の刺繍が施された赤いチャイナドレスを手に持ち鳥飼さんが姿を見せた。
「随分遅いじゃねぇか、いつまで待たせる気だ?」
「オヤジ、すみません。フーにこれを着てほしいと言われて・・・・・どうしていいか分からず悩んでました」
「は?」
鳩が豆鉄砲を食らったような顔をする彼。
「中国では赤は縁起がいい色なんだ。だからよく結婚式に着る」
「そうなのか紗智?」
「うん」
鞠家さんの目が自然とチャイナドレスに・・・・正確には深いスリットに釘付けになった。
「高行さん、エッチなことを考えている」
「な訳ないだろう?」
「目がいやらしい」
「だってそれは紗智が可愛いからだろ?」
「もうヤダ・・・・」
照れて顔を真っ赤にしモジモジと腰を揺らする紗智さん。その仕草があまりも可愛くて鞠家さんデレデレになっていた。
「あのなお前ら・・・・・」
これには彼も呆れ果てて何も言い返せなかった。
「いちゃつくのはあとにしてください。結婚式をはじめますよ」
「おぅ、そうだった。鞠家、紗智、颯人、行くぞ」
橘さんに声を掛けられ、睦さんだけ残して、子供たちが待つ最前列にそそくさと移動した。
「鳥飼さん、フーさんと二人きりになった時に着てあげたらどうですか?」
「ちょっと待て、俺は男だぞ。似合う訳・・・・・・」
橘さんがくすっと笑って鳥飼さんの手からチャイナドレスを持ち上げた。
ともだちにシェアしよう!

