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番外編 結婚典禮

「似合うか似合わないかなんてフーさんいちいち気にしてませんよ。好きなひとに故郷の伝統的な服を着てもらいたいだけです。日本の男は裸エプロンが好きなのか?真面目な顔でそう聞かれたときには流石に引きましたけどね。そうだ。手っ取り早くフーさんのまえでストリップショーをしたらどうですか?千里が笹原さんの前でしているように。あなたにもきっと出来ると思いますよ」 「・・・・・・・」 顔色一つ変えず、ごつ普通に答えた橘さんに、鳥飼さん返す言葉もなく呆気に取られていた。 「姐さん、我が儘を言うようですみません。腕の傷がまだ痛むんです。ですから手を繋いで歩いてもらってもいいですか?オヤジと彼の許可はあらかじめもらってます」 右手をすっと差し出されて。 手を重ねると、遠慮がちにぎゅっ、と握り返された。 「睦さんもすみません。颯人の許可はもらってます」 そう言って左手を差し出した。 「ねぇ鳥飼」 睦さんが静かに口を開いた。 「俺はもう鳥飼の主人(あるじ)主人じゃない。だから、呼び捨てにしてくれないかな?俺も、これからは鳥飼さんって呼ぶからさぁ。それとも(ニャァォ)鳥さんの方がいい?」 「睦さんそれは」 鳥飼さんが顔を真っ赤にして狼狽えはじめた。 「冗談だよ。旦那さん専用の呼び方なんだろう?」 クスリと笑うと更に言葉を続けた。 「物心が付く頃からずっと俺の側にいてくれただろう?弾よけとして守役として…………俺さぁ、鳥飼さんが側にいるのが当たり前だとずっと思ってきた。守ってもらえるのが当然だと思っていた。でも………」 そこで言葉を止めると、静かに鳥飼さんの手を握り締めた。

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