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番外編 結婚典禮
「いちた、かずえさんがつくってくれたカレーがたべたい‼」
「ハルちゃんも‼」
「我が儘言うな。さっきのご馳走が残っているだろう」
「だってパパ、あした、おうちにかえるんでしょう?かずえさんがつくってくれるカレーもうたべれないんでしょう?」
「ハルちゃんもいやだ」
下唇をこれでもかと伸ばし駄々を捏ねる二人に彼、ほとほと困り果てていた。
そしたら、扉が勢いよく開いて。
「おぃ那和‼」
「だって、めちゃおっかない顔で睨まれたんだよ。俺に隠し事かって。バーバ助けてよ」
那和さんが駆け込んできた。
その後ろから追い掛けてきたのは鳥飼さんだった。
「何があったんだ?」
イライラし声を荒げる彼。
「僕は通訳しただけ。何も悪くないよ」
彼の背中な隠れてぶんぶんと首を横に振る那和さん。
もしかして、橘さんが言ってたことをそのまま通訳してフーさんに伝えたのかも知れない。だからフーさん機嫌がやたらと良かったんだ。そう考えたら納得がいく。
「ねぇ遥琉さん」
袖を指先で軽く掴みツンツンと引っ張った。
「ん?何だ?」
「あのね、さっきね」
鳥飼さんの視線が気になったけど、橘さんと鳥飼さんの会話の内容を正直に彼に話した。
「なるほどな」
はぁ~とため息をつく彼。
しばらく考えたのち、
「フーに心底惚れているんだろ?なら、腹くくってプライベートストリップショーをやってやれ」
「…………」
その瞬間鳥飼さんの表情が凍り付いた。
「鳥 」
しかも間の悪いことにそのフーさんがぬっと姿を現したものだから、なんともいえない気まずい雰囲気になってしまった。
さっきまであれほど駄々を捏ねていた一太と遥香。何かを察したのかピタリと動きが止まった。
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