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番外編 ウーさんはじめての焼きもちを妬く
「外見は怖そうだが、本当は真面目でいい子なんだろうな。彼を見ていれば分かる。なぁ卯月さん、さっき渡した何とかメモり、儂、息子に内緒で中身を見たんだ。もう言葉を失った。彼もおんなじ境遇で育ったんだろう。新郎も那和さんも紗智さんも・・・・・だから尚更息子と幸せになって欲しいと心からそう思った。卯月さん、彼をうちの嫁に下さい。この通りだ」
「斎木先生、頭を上げてください」
まさか頭を下げられるとは。予想していなかったから、かなり慌てていた。
ーーN地区のことは知ってるわ。黒竜 と半ぐれ集団がグルになって悪さばかりしているんでしょうーー
実は通話中だったスマホの向こうから千里さんの声が聞こえてきた。
その声に斎木先生がぴくっと反応した。
もしかして知り合いとかなのかな?
「この声どっかで聞いたことがあるんだよな・・・・・」
斎木先生がう~んと唸りながら首を傾げた。
「確かさっき千里って・・・・もしかして、伝説のストリッパーの千ちゃんか?」
ーーあら、アタシのこと知ってるの?ーー
「知ってるも何も、儂は千ちゃんの大ファンで毎月必ず上京して劇場に通ったんだ。地方公演で福島にも来てくれただろう。4回だっけ?いや、5回だ。突然引退したから病気にでもなったのかと心配していたんだ」
ーーごめんさないね。子どもが二人もいっぺんに出来ちゃって、それどころじゃなくなっちゃったのーー
「子供・・・・・?千ちゃん、いつの間にかママになっていたのか。いやぁ~~魂消(たまげ)た」
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