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番外編 ウーさんはじめての焼きもちを妬く
ーーえっと・・・・ーー
「斉木だ。恐らく覚えていないと思うが」
ーーアタシの記憶違いだったらゴメンさないね。いっつもチップを弾んでくれて、福島の美味しいお菓子をいつも女の子たちにたくさん差し入れしてくれた斉ちゃんじゃないわよね?ーー
「そうその斉ちゃんは儂だ」
ーーあらやだ~~もう~~超奇遇~~ーー
いつもの甲高い声に斉木先生すっかり酔いが覚めたみたいで、目をキラキラと輝かせてスマホに向かって話し掛けていた。
「儂は今でも千ちゃん一途だ」
ーーもぅ、人妻を口説いちゃダメーー
「相変わらず千ちゃんは可愛いな」
人目もはばからず堂々と千里さんを口説き始めた斎木先生に、彼や橘さんたちみんな呆れていた。
斎木先生は、千里さんが本当は男だって分かってるのかな?
それに昇龍会の組長だということも。
吃驚し過ぎて倒れないといいんだけど、大丈夫かな?
「ハルちゃん、せんりおねえちゃんからでんわだよ」
「やった!」
一太がスプーンをお皿の上に置いて、椅子からぴょんと飛び下りて駆けてきた。
遥香も後ろ向きに椅子からゆっくり下りると、スプーンを握り締めたまま一太のあとを追ってきた。
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