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番外編 ウーさんはじめての焼きもちを妬く

「せんりおねえちゃん、いちただよ」 「ハルちゃん」 競うようにスマホに向かって話し掛けた。 ーー二人とも元気?ーー 「うん!」 ーー 一太くん、卒園オメデトーー 「ありがとうせんりおねえちゃん」 ーーママになってもお姉ちゃんって呼んでくれるなんて。嬉しいわーー 後ろの方から子どもたちの賑やかな声が漏れ聞こえていた。 退院したあと彼や橘さんから色々聞いた。 鈴木さんに成り済ましていた安井カオルさんの子どもたちを千里さんが引き取って養子に迎えたこと。 笹原さんのお父さんが彼女に刺されていまだに意識が戻らないこと。 にわかには信じられない話しばかりで、頭が追い付いていかない。 「なぁ親父、その千ちゃんが昇龍会の組長だってこと知ってるか?」 「は?」 「ついでに言うと卯月さんは、本部執行部の若頭だ」 「へ?」 寝ていたはずの若先生がこっちをじっと見詰めていたから、斉木先生腰を抜かすくらい驚いていた。 「千里さんと卯月さんがいたからこそ昇龍会は黒竜に食いものにされずに済んだ。もし笹原ってのが組長だったら、親子して狐狸妖怪の毒牙にかかり、昇龍会はまた真っ二つに分裂し血で血を争う抗争をおっぱじめていた」 「若先生、なんで笹原や安井カオルのこと知っているんですか?」 驚きのあまり彼の声は震えていた。 「昼行灯は敵を欺くための表の顔です。そうですよね?」 橘さんが鋭い目付きで若先生を睨み付けた。

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