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番外編 ウーさん初めての焼きもちを妬く

ウーさんは羨ましそうにそんな二人のやり取りを眺めていた。 「若先生はウーに嫌われたいの?」 「な訳ねぇべ」 言葉が通じないから、ウーさんに何かを聞かれてもすぐに答えてあげることが出来ない。 見かねた那和さんと紗智さんがウーさんが無意識に口にした言葉を訳してくれた。 「俺には親がいない。だから一度も親子喧嘩したことがない。いいなぁ、喧嘩が出来て。そう言ったんだよ」 二人に言われて若先生も斉木先生もしまったとばかりに口元を手で押さえた。 「なら俺がウーの父親になる。それなら口喧嘩も出来るだろう」 「あのねバーバ。父親より、老大哥(ラオ ダー グァ)の方がいいと思う」 「ラオ………那和、何て言ったんだ?」 「老大哥(ラオ ダー グァ)。つまり、兄貴っていう意味」 「なるほどな」 「ウーさん、私と惣一郎さんがあなたの親代わりになるわ。日本ではね、夫婦喧嘩するとよく実家に帰るのよ。みんながみんなじゃないけどね。若先生と喧嘩したらここに帰ってくればいいのよ」 和江さんと紫さんが子どもたちお待ちかねのデザートを運んできてくれて。 和江さんがまず先にウーさんに声を掛けて、 続いて紫さんが声を掛けた。 「そうよ。私と度会も付いているわ。貴方は一人じゃないわよ」 ウーさんが首を傾げながら那和さんと紗智さんの袖を引っ張った。 「えっとね」 2人から分かりやすく説明されたウーさん。さっきまで暗い表情を浮かべていたけど、ようやく笑顔を見せてくれた。 子どもたちとスマホを取り合い、彼や若先生から大人げないと飽きられながらも千里さんから電話番号とメルアドを無事にgetした斉木先生。 鼻唄を歌いながら足取りも軽く帰っていった。 ウーさんと若先生はそのままデートに出掛けた。那和さんは通訳として、若先生に首根っこを掴まれ半強制的に連れていかれてしまった。

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