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番外編 ウーさんはじめて焼きもちを妬く

「通称・グーリ。中国では古狸の意味らしい。。黒竜(ヘイノン)のダンベイだ。表では誰かさんと一緒で慈善家を名乗っているが、その誰かさんを上回るとんだ悪党だと専らの噂だ」 僕たちを見送るために蜂谷さんが駆け付けてくれた。昨日会った男性の情報を手土産に。 「コイツ………」 男の写真を見せられた彼。 その顔に見覚えがあった。 USBメモリに入っていた何枚かの写真に顔が写り込んでいた。 慈善家なら、カタギなら、背中に般若の刺青など普通は彫らないって彼が。 「マー」 「へ?」 初め聞き間違いだと思ったでも、 「マー、ダメ?ヨンジャ?」 二度目はハッキリとそう言われて。 「ううん、全然駄目じゃないよ。でも………」 彼を思わずチラッと見た。 「は?お前今幾つだ」 まさかウーさんまで僕をマーって呼びたいと言い出すとは思わなくて。 彼も予想外のことにぽかーんとしていた。 「ウーさんとフーさんも、おそらく紗智さんと那和さんと同じような境遇で育ったんですよ。比翼の鳥のようにフーさんと互いに支え合い、励まし合って、地獄のような日々を乗り越えて来たのかも知れませんよ」 橘さんがそんなことを口にしながら、淹れたてのコーヒーをトレイに乗せ運んできた。

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