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番外編 さよならじゃない。

「儂らが未知さんのところに通えばいいんだ。そうだろう和江」 二日酔い気味の惣一郎さんがふらりと姿を現した。 「貴方の場合、未知さんに会いたいんじゃなくて、一太くんとハルちゃんと遊びたいんでしょう。それと度会さんと伊澤さんとさしでお酒が呑みたいだけでしょう」 「何で分かったんだ」 「普通、誰だって分かるわよ」 和江さんが苦笑いを浮かべながら涙を手でそっと静かに拭った。 お昼過ぎにはすっかり霧も晴れて気持ちいいくらいの青空がどこまでも広がっていた。 宿泊していた旅館から鳥飼さんと仲良く手を繋ぎ上機嫌で戻ってきたフーさん。 でも、僕をマーと呼んで甘えるウーさんにすぐに気付き、不機嫌そうに顔をしかめ荒々しく胸ぐらに掴み掛かった。 「フー止めんか」 彼や鞠家さんが慌てて仲裁に入った。 「俺がいいって言ったんだ」 何で?フーさんが信じられないとばかりに彼を見下ろした。 「フー、お前とウーは比翼の鳥だ。橘がそう言っていた。互いに支え合い、励まし合って地獄のような日々を乗り越えて来たんだろう?お前という生きる糧を失い、ウーは奈落に落ちるくらい深い孤独感を感じたはずだ。言葉も通じない、文化もまったく違う異国にたった一人、置き去りにされたんだ。尚更だろうよ。未知に甘えることで少しでも心の傷が癒えればいいって、俺はそう思う。それにウーは地竜にみっちり説教されても構わない、そう言ってる。フー、今はそっとしてやろう」 頭ごなしに怒るのではなく、諭すようにゆっくりとした口調でフーさんに話し掛けた。

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