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番外編 さよならじゃない。
「あいつら隣の旅館で、夜通し乱痴気騒ぎをしていたんですよ。早朝何台もの救急車が来てて、ほとんど全裸の女が………おそらく急性アルコール中毒か、薬物中毒だと思いますが、何人も運ばれていきました。旅館から通報を受けたサツが駆け付けたとき、部屋はもぬけの殻でした」
「たく、これだから、私たちまで後ろ指を指されるんでしょう」
紫さんがやれやれとため息をついた。
「卯月さん、面倒なことになる前に未知さんと子どもたちを連れて先に帰りなさい」
「でも紫さん………」
「早くしなさい」
いつも穏やかな紫さんがこんな風に声を荒げるなんてはじめて。驚いた。
和江さんや惣一郎さん、それに斉木先生や若先生にちゃんとお礼がいいたかったのに……
彼に急かされて子どもたちを先に乗せ、みんなに体を支えてもらいながらよいっしょっとワゴン車に乗り込んだ。
鞠家さんと柚原さん若い衆を残し、橘さんや紗智さん、那和さん、それにウ―さん達も乗り込むと車はすぐに走り出した。
14人乗りの大型のワゴン車はレンタルで借りものだって彼が言ってた。チャイルドシートとジュニアシートもオプションで付けて貰った。
大型の免許がないと運転出来ないみたいで、度会さんが、知り合いのバスの運転手さんに急遽頼んでくれた。
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