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番外編 古狸と狐狸妖怪

「・・・・・!!」 彼から送信されてきた写メを見た瞬間その場に居合わせたみんなの表情が強張った。 そこに写っていた女性はカオルさんによく似た顔をしていた。虚ろげな 瞳で外の景色をぼんやりと眺めていた。両手で服を着ていない裸の女の子の人形を大事そうに抱き抱えていた。 「橘さん、彼女の赤ちゃんは?無事なの?」 「遥琉から聞いた話ですが、先日、予定日より3か月も早く産まれたそうです。市内にある別の病院に赤ちゃんだけ入院しているそうです。彼女は、自分が妊娠していたことも、出産したことも何一つ覚えていないそうです」 橘さんが別の写メを見せてくれた。 若先生が彼に託した写真を見ていたから、ある程度覚悟はしていたつもりだったけれど・・・・ 「おぃ、橘」 鞠家さんの手が静かに伸びてきた。 「未知に見せるべき写真じゃない」 「ううん、大丈夫。鞠家さん、心配してくれてありがとう。僕ね、現実から目を背けないで、ちゃんと向き合うことに決めたんだ。こんな僕でも救える命があれば救いたい。彼女が産んだ赤ちゃんを助けてあげたい」 「君って子は・・・・・・」 「未知さんらしいですね」 驚く鞠家さんに橘さんが声を掛けた。 ウーさんが前屈みになり、スマホの画面を覗き込んできた。 表情一つ変えることなく、ただ静かに写真をじっと見詰めていた。

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