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番外編古狸と狐狸妖怪

「何度言ったら分かってくれるんだべ。俺は斉木。医者だ。ウーに会わせてくれ‼」 若先生はどこにいてもよく目立つ。 声も通るから尚更。 これじゃあ、すぐバレると思うんだけど、よく今まで見付からなかったとつくづく思う。 「若先生、声がおっきい」 「子どもたちお昼寝しているからしーだよ。しー。分かる?」 紗智さんと那和さんが唇に人差し指を立てて小声で話し掛けた。 「それはすまなかった」 「若先生、汗すごいよ」 「タオル持ってこようか?」 「大丈夫だ」 ポケットからハンカチを取り出す若先生。そのとき小さな箱が下に落ちた。 「なんだべな」 すぐに拾い上げようとしたけど那和さんの方が早かった。 「もしかして、これ」 「何でもいいべ。おめさんには関係ねぇべ」 「関係あるし。そんなこと言ったら二度と通訳しないよ。中国語だって教えないよ」 「いやぁ、それは困るんだな」 若先生が髪をくしゃくしゃと掻いた。 「プロポーズの言葉、もう一回教えてくんちょ。緊張して度忘れしっちまった」 「若先生、その必要はないよ」 クスクスと笑いながら那和さんと紗智さんが顔を見合わせた。 「若先生は、子どもは好きですか?」 「なんだべ未知さんまで急に。子どもは好きだ。でも、一番好きなのはウーに決まってっぺ。分かってることいちいち聞くな」 「なら良かった」 若先生の言葉にほっと胸を撫で下ろした。 「若先生、ウーさんのこと・・・・ううん、一番おっきい息子を宜しくお願いします」 ぺこりと頭を下げた。

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