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番外編 古狸と狐狸妖怪
ウーさんがいつの間にか若先生の前に立っていた。
何をするわけでもなく、ただじっと若先生を見つめていた。
それが恥ずかしいのか若先生は急いで立ち上がろうとした。でも、足に力が入らなかったみたいで、膝が崩れ、ふらついた若先生をウーさんが抱き留めた。
「ありがとうウー」
「▽○▲○×」
一つため息をつくと、ウーさんが突然若先生を抱き上げた。
「いきなり何すんだ」
横抱きされ先生が上擦った声を上げた。
「おなごじゃねぇぞ」
下ろせと言わんばかりに足をバタつかせる先生。
ウーさんは有無を言わさずそのまま連れていってしまった。
鞠家さんは通訳に呼ばれ、二人のあとを追い掛けた。
「二人きりで話し合うつもりなのかな?たく、相変わらずお騒がせなカップルだ」
彼がやれやれとため息をついた。
そのときマナーモードにしてあった彼のスマホがぶるぶると震え出した。
「あ?」
電話に出るなり彼の表情が一変した。
「悪い、テレビをつけてくれ」
近くにいた若い衆に命じ、客間の隅に置いてあった大形の液晶テレビの電源をいれてもらった。
別の若い衆がリモコンを操作し、適当にチャンネルを回してくれた。
「ちょっと待て‼ストップ」
ちょうどお昼のワイドショーが放送されていた。
その内容は、若先生が命をかけて守ったUSBメモりの内容がSNSで拡散され大きな反響を呼び欧米の人権団体が調査に乗り出したことを報じていた。
そして警察も相手が未成年だと知りながら買春していたとして、あの映像に映っていた男性たちに事情聴取をはじめたことを報じていた。
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