1043 / 3640

番外編 古狸と狐狸妖怪

ーそうだ、すっかり忘れるところだった。うちのバカ息子、ちゃんとプロポーズ出来たか?惣一郎さんと和江さんに、男ならビシッとしなさいってカツをいれられていたんだよー 「心配しなくても大丈夫ですよ」 ーにしても卯月さんところの未知さん。可愛い嫁こだなー 「へ?」 微妙に噛み合わない二人の会話に、まわりにいた若い衆が必死に笑いを堪えていた。 「卯月、未知、ウーからだ。 俺はマーやオヤジに会えて本当に嬉しい。 死ぬまで側に居てくれると思っていたフーに一方的に別れを切り出され、完全に居場所をなくした俺に、マーやオヤジは優しくしてくれた。 俺が敵なのか味方なのか、裏切るかも知れないのに。 誰にも言えない過去があったっていいじゃねぇか。 一生消えない悲しみがあったっていいじゃねぇか。 大事なのは、若先生と前を向いて一緒に歩いていくことじゃないのか。 ウー、何があっても俺と未知はお前の味方だ。 オヤジに背中を押してもらったから、若先生にプロポーズすることが出来た。ありがとうって、たまにはいいこと言うじゃねぇか卯月。カミさんの尻ばかり追いかけているお前が」 「五月蝿いな」 鞠家さんに耳の痛いことをズバリと言われ彼、グーの音も出なかった。

ともだちにシェアしよう!