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番外編 古狸と狐狸妖怪
鞠家さん、ウーさんに何をどう通訳したのかな?
すっと僕から離れると、キョロキョロとしきりに辺りを見回し誰かを探しはじめた。やがてその視線は、子どもたちと庭で元気に追いかけっこをして遊ぶ紗智さんや那和さんに向けられた。
「鞠家さん……?」
手を懸命に伸ばし裾をツンツンと引っ張った。
「マーに甘えてばかりいるとみんなに焼きもちを妬かれるぞ。男の妬みほど面倒くさいものはない。よ~く覚えておけってな」
「おぃおぃ、逆に脅してどうするんだ」
「別に脅してねぇよ。正論を言ったまでだ」
鞠家さんが機嫌よく笑っていた。
「古狸とカレンと闘うためには一致団結しなきゃならない。奴らはやたと鼻がきく。わずか綻びさえ見逃さないーーん?」
鞠家さんが何かに気付きすっと立ち上がった。彼も立ち上がって外に飛び出そうとしたウーさんの腕を掴んだ。
庭を若い衆と警備にあたっていたフーさんが大声を張り上げ、手を大きく振り若い衆になにかを指示していた。
紗智さんと那和さんが、よく分かんないけどフーが、みんな避難。家に入ってだって。
子どもたちを抱き上げ家の中に慌てて駆け込んできた。
その直後、ドーンと大きな音がして。
一瞬家が大きく揺れ、子どもたちの悲鳴があがった。
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