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番外編古狸と狐狸妖怪
ほぼ同時刻に本部や龍一家縣一家の組事務所にも報復としてドライアイスを仕込んだペットボトルを投げ込まれた。
狙われたのはそこだけじゃない。
「鷲崎さんなんで栃木に?」
「あぁ。話せば長くなるんだが、色々あって」
彼の話しだと、数ヵ月前、仙台市内で発生した発砲事件で、公安の監視の目がさらに厳しくなり、警察からも睨まれているみたいで、鷲崎さんは仙台に帰ることが出来ず、身を寄せている九条組にそのまま厄介になっているらしい。
その九条組の組事務所がテナントして入る雑居ビルの一階にもドライアイスを仕込んだペットボトルが投げ込まれたと夜になってから情報が入ってきて、血気盛んな若い衆が、倍返しだ、いや、百倍返しだ‼
オヤジ黙って見てるんですか?やり返しましょう‼と息も荒く彼に詰め寄った。
「今はまだその時期じゃない」
彼は首を縦に振らなかった。
古参の幹部も弓削さんも度会さんも彼の意見に賛同し、
「黒竜がやったという証拠が何一つないんだ。迂闊に動いたらそれこそ相手の思うつぼだ。本部も沈黙を守っている。今は耐えるときだ」
そう言って若い衆を戒めた。
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