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番外編 私を信じて

暗くなるのを待って物音をなるべく立てないように、彼と子どもたちと紗智さんと那和さんと裏口に向かった。 警備をしていたウーさんとフーさんが辺りを何度も確認して、横付けされてあったファミリーカー車のドアを開けてくれた。 「未知、ゆっくり、焦らなくていいからな」 「うん、ありがとう」 彼やウーさんに体を支えてもらい車に乗り込んだ。 「休日なのに呼び出して悪いな」 「いや、大丈夫だ」 ハンドルを握っていたのが信孝さんだったからびっくりした。 大挙して押し掛けたマスコミから僕たち家族を守るため、3日ほど知り合いの家に避難していただきますと橘さんから告げられたのは、わずか30分前のことだった。 「荷物はあとで運びますから。必要なものだけ取り敢えずリュックサックに詰めておきました」 橘さんにリュックサックをぽんと渡された彼。はじめ理解出来なくてきょとんとしていたら、 「私の顔に見惚れていないで早くしてください」苦笑いされていた。 「俺もいるよ」 助手席からひょいと直矢くんが顔を出したからまたまたびっくりした。 一太と遥香は遊んでもらえる! 両手を叩いて大喜びしていた。 紗智さんと那和さんがしーだよ、しー。慌てて二人に声を掛けていたけど、 「別に悪いことをしていないだ。堂々としていればいいんだ」 彼がそう言いながら最後に乗り込んできた。

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