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番外編 私を信じて

「ヤクザに現役の国会議員が会うということがどういうことだか分かってますか?」 彼の問い掛けにキョトンとして目をパチパチさせる額田さん。 「その顔、絶対に分かっていないですよね?」 はぁ~と深いため息をつく彼。 「マスコミにとっていいネタだ。あなたの地位だって危うくなる」 「ごめんなさいね。主人と秘書が代わりに全てやってくれているから、そういうのよく分からないのよ」 「はぁ?じゃあ、なんで国会議員をやっているんだ?」 「"福光の娘"だから………かな?なりたくてなった訳じゃない」 「…………」 さすがの彼も唖然として開いた口が塞がらない様子だった。 「その福光の家を守るため人柱にされたナオのこと少しは考えたことがあるのか?身勝手な、自分さえ良ければいい、そんなエゴの塊の連中の手で汚され、人間としての尊厳さえ踏みにじられたナオのことを。うわべだけはなんとでも言える」 もういいからと間に入ろうとした信孝さんの手を振り切り、彼が鋭い目付きで額田さんを睨み付けた。 「そうね、卯月さんの言う通りよね」 額田さんはしばらく黙り込んだのち、静かに口を開いた。 「ネットに流れた例の写真に主人が映っていたの。主人は外務省の官僚で、日本への入出国に関し便宜を図って貰う見返りに黒竜から多額の資金提供を受けていた。それが私の政治資金として使われていた。政治資金規正法で外国人から資金提供を受けることは禁止されているから、告発されれば間違いなく逮捕されるでしょうね。きっとバチがあたったのよ。姉さんたちはみな罪の擦り付け合い。変にプライドだけは高いから誰も尚也に謝罪しようとしない。困ったものよね」 額田さんはそう言うと窓の外をぼんやりと見詰めた。

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