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番外編 ナオさんのお兄さん
「来るなら来るって一言くらい言え」
「はぁ、俺も一時間前にみずほに呼び出されて、頼まれたんだよ」
言い争う声がだんだん近付いてきた。
二人の声はとにかくよく響く。
「よしざきさんだ!」
「ほんとだ」
「あそぼ、よしざきさん」
「あそぼ」
晴くんと未来くんの元気な足音と声も聞こえてきた。
「用事が済んだら遊んでやるから。待ってろな」
「やった!」
吉崎さんも彼や信孝さん同様、無類の子供好きみたいだった。
どんな人何だろう。
緊張しながらも吉崎さんが現れるのをそわそわしながら待った。
でも5分経過してもなかなか現れなかった。
誰かに捕まったのかな?
そんなことを思っていたらやっと姿を現した。
「おぃ卯月、本当にお前の子供か?天使が4人もいてビックリしたぞ。それに若いネェちゃんが2人も。まさにハーレムじゃあねぇか」
大柄の男性が興奮しながら入ってきた。
その男性の視線は僕へと向けられ、そしておなかをチラっと見ると、
「きみ、男………だよな?俺の目がおかしいのか」
「妻は両性なんだ」
「は?はじめて聞いたぞ」
「だから…………」
彼がはぁ~とため息をついた。
「はぁ、じゃあねぇだろうが。しかも5人目?おぃおぃ聞いてないぞ」
挨拶もそこそこに彼に絡みだした。
これには額田さんも苦虫を噛み潰したような顔を浮かべていた。
「感動の再会はそれくらいにして。吉崎、例のものを尚也に渡してくれない」
「あぁ、そうだった」
吉崎さんが大事そうに脇に抱えていた鞄から茶封筒を出すとナオさんに手渡した。
「ほらきみも」
「え?なんで?」
なぜか僕まで茶封筒をもらってしまった。
福光家とは無関係ないのになんで?
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