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番外編 ナオさんのお兄さん

「あと吉崎。残念だが、さっき話していた二人は男だ」 「マジか」 吉崎さんの顔からみるみる血の気が引いていった。 「ついでに言うと二人とも人妻だ」 「人………妻?それってつまり………」 彼から伝えられた事実があまりにも衝撃的だったのか、目をまんまるくしていた。 「いろんな形の夫婦がいていいんじゃないの。ねぇ、吉崎」 「そうだな」 現実をいまいち受け止めきれないのか、こめかみのあたりを押さえていた。 「さぁ~てと、マスコミが嗅ぎ付ける前にさっさと退散しますか」 大きく背伸びをしながら、額田さんがリビングから出ていった。 「あら、イケメンの見送り付きなの?嬉しいじゃないの。ありがとう」 玄関までだ。多分そう言ってるのかな? ちょっと困惑気味だったけど、フーさんとウーさんは、信孝さんと一緒に額田さんを送っていった。 「なぁ遥琉。カミさんに自己紹介をしてもいいか?」 「その必要はない。さっさと帰れ」 まさかの塩対応に、 「それ酷くないか?」 吉崎さんは唇をつまみ不満を口にした。 子どもみたいに些細なことでムキになり、口喧嘩をはじめた二人に、ナオさんがぷぷと吹き出した。 「良かったね翔兄さん。"憧れの兄貴"に構ってもらえて」 「憧れの……兄貴?」 「翔兄さんは、遥琉さんの侠気にぞっこん惚れてるんだ。ヤクザの中のヤクザ。兄貴と呼ぶに相応しいカリスマ性を持ってる。あと……」 「ナオそれ以上は禁句!」 慌てたような吉崎さんの声が飛んできた。

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